囃子方と祇園囃子

◆祇園囃子

宵山 鉾 縦写真.jpg

祇園囃子は「コンチキチン」の鉦の音色が特徴的であるが、リズムを刻む鉦、メロディーを奏でる笛、テンポを司る太鼓の三楽器で構成される。
現在の巡行路では鉾が八坂神社から向きを変える四条河原町までの優雅な雅楽の趣きの「出鉾囃子」と、河原町通に向きを変え終わり進行しだしてからの軽快ないわゆる"コンチキチン"の「戻り囃子」がある。函谷鉾では「出鉾囃子」を「出(で)」というが、他鉾では「渡り」あるいは「行きし」と呼ばれる。各鉾、曳き山でそれぞれ三十数曲あり、一部」共通の曲もあるが多くは独自の曲を有しています。

◆出鉾囃子

「地囃子(曳き出し)」、「出わか」、「出函谷」、「出鶴」、「出葉津美」、「小松」、「神楽」、「唐子」、「白山」。

悠長なお囃子の「出」では鉾が進発するときに「地囃子」という"曳きだし"の曲で出発する。そして「出わか」、「出函谷」「出鶴」などの曲をまた「地囃子」で繋ぎ巡行する。町内出発時に「出わか」、くじ改め場で「出函谷」、寺町の御旅所(本社遥拝)では「出函谷」を囃すのが慣わしですが、四条通烏丸西入に位置し長刀鉾に次いで鉾二番(間に山三基が入る)の函谷鉾は「戻り囃子」に入る四条河原町の「辻回し」までの距離が短く、しかもその間、四条通では堺町での「くじ改め」、麩屋町で長刀鉾の「注連縄切り」などがあり鉾がしばしば待機のために停止します。このため御旅所までは曲数も少なく、鉾が停止して待機する時間があるときにはしばしば笛の高音一笛で囃子を中断し、再び進発するときには新たに「地囃子」から始めます。四条河原町の「辻回し」で「戻り囃子」に移り「松」を囃すために四条河原町進入時に「小松―神楽―唐子―白山」―「戻り囃子」の一連の繋がった曲を囃します。寺町通南下の旧巡行路では御旅所と神事奉納曲の「唐子」の曲の演奏地点が一致していたのですが河原町北上の現巡行路になってからは東の八坂神社方向から北へ向きを変えることで帰路として「戻り囃子」に入ります。函谷鉾の囃子の場合、「小松―神楽―唐子―白山」と繋がって「戻り囃子」に入るため、鉾が北へ向くタイミングを逆算して長年の経験から「小松」に入るため「辻回し」の作業の進行具合が気にかかるところである。

◆戻り囃子

「地囃子(渡り)」「地囃子(筑紫)」「松―流し」「常目―萬歳」「巴、一二三(筑紫)」「一二三(渡り)」「若葉、小横」「虎、小横」「函谷―美登里」「榊―初音」「鶴―朝日」「末―神楽」「龍、立横」「竹―流し」「亀―四季、横」「翁、霞」「梅、一二三」「千鳥―流し」「若」「納め囃子(日和神楽)」
註:(渡り)(筑紫)は笛の曲名で鉦は同じ打ち方だが、太鼓は笛のメロディーに合わせて打ち方が違う。「 」内で―で繋がれた曲は全曲一回しで次曲へ移る。それ以外は前曲を数回(任意回)回して次曲へ移る。次曲の指定がないものは任意で別の曲に移る。

四条河原町で鉾が北へ向きを変えると囃子はいわゆる"コンチキチン"の軽快な「戻り囃子」に転じます。「戻り囃子」は基本的に二分の二拍子の四小節のリズムであるがテンポなどでオリジナリティを出す曲も多い。函谷鉾の「戻り囃子」は三十数曲あるがこのうち四ヶ所の「辻回し」では特徴のある決まった曲が囃され、他の曲は直進中に随時変更して囃される。「戻り囃子」の曲は1曲数十秒から三分間ほどで、繰り返し演奏され"呼び出された次の曲"に移る。これは明治期まで細い道を巡行してときに巡行列がしばしば停止するため、いつでも囃子を止められるようにしていたと思われる。「戻り囃子」で鉾が小休止のため囃子を中断するときは"中休み=終曲"の「若」を一回しして笛の高音一笛とともに一旦囃子を止め、"曳きだし"の曲「地囃子」あるいは「一二三」の囃子で鉾は再び出発する。また、最後の「辻回し(四条新町)」から鉾宿(ほこやど)の町会所までの二百メートル足らずは鉦が単調なリズムを刻む中、笛方がいくつかのメロディをアドリブで奏で、太鼓方はそのメロディに合わせてアドリブで太鼓を打ち、町会所に帰町すると「納め囃子」を数回、徐々に速く囃して巡行を終える。