四条通、帰町までの囃子

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最後の力を振り絞った「辻回し」から目先の四条通の二百メートルほど向こうに函谷鉾の町会所が見えると「千鳥」から「流し」に入る。通常「流し」は笛が「渡り」というメロディーで1分ほどの曲を三回ほど回して終曲の「若」に入り、その間、鉦は「チキチン」を刻み続け、太鼓は華麗なあるいはダイナミックなバチ捌きを見せるが、ここでは途中から「筑紫」というメロディーに転じ「萬歳」「朝日」のメロディーにも変えられるアドリブが入る。鉾が室町を越え函谷鉾町に帰ると「筑紫」に戻され、太鼓が「押さえ、一本、二本」の技を歯切れ良く打ち、鉾宿を目前に、町内総出の出迎えとともに囃子は最高潮に達する。鉾が町会所に帰還し、大きな車輪に車止めが噛まされると終曲の「若」に転じる。「出わか」で出発し「若」で帰町するわけである。巡行の終了を惜しむように「若」を三遍あるいは五遍徐々に速く囃され、次いで「納め囃子」を五遍あるいは七遍、これも徐々に速く囃され、鉦も太鼓も笛も渾身の力で巡行の無事終了に感謝を込めて演奏され、笛の高音一笛で四時間に及ぶ巡行の幕は閉じ、囃子方、観衆一体となった三本締めで達成感と解放感に浸る。







祇園祭について、そして函谷鉾・保存会について、詳しくご紹介しております。「鉾や山を見る」・「巡行を楽しむ」だけでも良いのですが、その歴史、由来、願いなど多くの人々が積み上げてきたことを知って、実際の鉾や山をご覧いただくとより深く楽しんでいただけるのではないでしょうか。

そんな願いを込めてご紹介しておりますので、ぜひじっくり「函谷鉾」を知ってください。