鉾建て

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七月十日から十二日まで三日間、延べ百八十人の手によって鉾が建てられ、絢爛な姿を現します。


七月十日


手伝い方の手によって櫓(胴組)本体の組み立て。四本柱、貫、筋交いなどが組まれ、接合部を縄で巻いて仕上げることによって巡行中の揺れや軋みによる部材の破壊を守っている。この縄絡みの補強の飾り結びをその形状によって「雄蝶」「雌蝶」「海老」「八幡巻」などと呼ばれる。使われる縄の総延長は五~六千メートルに及び、丸く束ねられた縄を一旦解いて、作業がしやすくなるように往復運動による束ね方に直され、木槌で叩いて部材の角に馴染ませながら縄絡みを施して行く。函谷鉾では直径二.五ミリメートルの越前産の縄が使用される。他方、町会所の長い廊下では真木が組み上げられる。三本の部材(下二段が欅、上一段が竹)の接合部に鉄輪を通し、小さな竹板を真木と鉄輪の間に打ち込んで"遊び"を無くし、縄で巻いて「しゃぐま」飾りなどが施される。








七月十一日


真木が建てられる。前日組み上げた櫓(胴組)の前後最下部の貫にテコの役割を果たす長さ六mほどの角材を前方に突き出すように取り付ける。後ろ側の柱の最下部と地面の穴に差し込んだ杭に結わえられた古車軸を結わい回転軸として、櫓を一旦後ろ側に寝かし、前日に完成させた真木を町会所から二十名余りで担ぎ出し、寝かされた櫓に取り付け、すぐさま禿柱(かむろばしら)で補強される。町内関係者によって鉾頭、天王人形以下の飾り付けがなされ、真木の天井あたりには愛宕神社の火除け護符が張られ、榊には紙垂(しで=小さな紙の御幣)が関係者、一般の手で付けられる。真木飾りが完成するとテコを利用して真木は引き起こされる。すぐさま石持が取り付けられる。午後からは町会所二階から鉾へ渡る渡り廊下が組み上げられ、櫓に囃子台の床板、手刷り、その上に屋根の取り付けの足場が組まれ、屋根が付けられるとともに町会所では翌日の懸装品などの鉾への着装、展示公開のために懸装品などが表通に面したお飾り場に運ばれる。







七月十二日


朝から屋根上では網隠しが装着され、天井幕、禿柱の朱幕が張られる。胴掛部には黒地に大きく神紋の下幕が掛けられ、四隅、胴掛の合わせ目には朱板が吊るされる。胴掛類が掛けられ上水引、下水引、裾幕が掛けられ、石持の小口には真っ白な奉書が貼られる。町会所二階では巡行用の懸装品、旧懸装品などが公開のために飾られる。車軸に車輪がはめられ、午後二時からは他鉾の先陣を切って鉾の試運転といえる「曳き初め」があり、函谷鉾は町内を往復する。曳き初めが終わると石持先端に清めの塩が盛られ、鉾の回りには埒(らち)を組まれ、駒方提灯が上げられる。







祇園祭について、そして函谷鉾・保存会について、詳しくご紹介しております。「鉾や山を見る」・「巡行を楽しむ」だけでも良いのですが、その歴史、由来、願いなど多くの人々が積み上げてきたことを知って、実際の鉾や山をご覧いただくとより深く楽しんでいただけるのではないでしょうか。

そんな願いを込めてご紹介しておりますので、ぜひじっくり「函谷鉾」を知ってください。