囃子方と祇園囃子

◆札順

07.札順.jpg函谷鉾ビル二階の囃子練習場の壁に囃子方の氏名が書かれた木札が掛けられている。太鼓方、笛方、鉦方に分けられ、入会年度順に並べられているこの札順が上下関係を決定づけ、先輩から囃子技術や礼儀作法を教わる。
 

◆鉦方

多くの新入会者は成年までの十年余りの鉦方修行で四十数曲の函谷鉾祇園囃子の技術だけでなく七十代から小学生までの上下関係の中、マナーや礼儀を身につける。 08.鉦方.jpg鉦方の札順一位は「ハナ」と呼ばれ、リーダーとして演奏の実力と人望が要求され、囃子技術を教えるのみならず練習の準備と後片付けなどを統率する責任を持つ。札順二位は「二番」と呼ばれ、ハナを補佐する。四時間に及ぶ巡行中ハナと二番は鉦方の先頭と二番目に陣取り、交代せずに演奏し続ける。七つの鉦の残り五つは他の鉦方が振り分けられ、札順と実力、練習態度などにより五人の班長を選任され、それぞれ経験年数により演奏場所が決められる。成人して本人が決意したときに嘉多丸会役員会が認めれば太鼓方、笛方に移る。

◆笛方

09.笛方.jpg能管は高価であるが囃子方の個人持ちで、笛方昇格から次の年の祇園祭まで個人指導を受け、〝音〟を出すことから始まり、独特の符丁で表されている笛の譜を覚える。音色と共にメロディーの伸ばし具合、コブシの利かせ具合を習得して、太鼓のテンポに合わす技術が要求される。巡行時は鉾の進行左側の欄縁に八人が座り、演奏し、他は交代要員として乗り込み、席順は指導者を中心に年長者が決め、随時交代している。

◆太鼓方

10.太鼓方.jpgテンポを緩急させ、掛け声を率先して掛ける太鼓はその太鼓の出来ひとつが囃子の〝ノリ〟や荘重さに関わり、囃子の要として重要な役割である。鉦の譜を完全に習得し、笛のメロディーや間を体得していなければ囃子の流れを作ることはできない。したがって譜に縛られることなく口伝や〝見て〟囃子を覚え、バチさばきを覚え、教わるわけである。次曲の選曲、曲の切り上げ、終了を決定し、皆に知らしめるのも太鼓方で、稚児人形の後に座し「呼び出し」と呼ばれ、繰り返し囃される曲の最初のフレーズで笛のメロディーに合わせ歌うように発声し、曲名が書かれた帳面を開いて皆に見せる。 これは大音響の中で目によって確認するためである。 11.曲の呼び出し.jpgこれを鉦方は前から後ろへ、笛方は鉾の中にいる交代要員が曲名を伝達する。このようにして四時間もの巡行中、四十数曲の囃子が繰り返し演奏される。 巡行時は鉾正面、稚児の両脇に二人が演奏し、 稚児の後ろに座す演奏者以外の年長者が呼び出し役として選曲、二人ほどが鉦方の後ろの角に座し鉦方への注意や演奏を束ねる。演奏の交代は年長者が決め、随時交代する。太鼓方昇格者は指導者から個人指導も受けるが、まず先輩から締太鼓の締め上げ方を習うことから始まり、良い音を出し、二つの太鼓の音の高さを揃えるまでには数年かかる。